魚介類の食べていいもの
・悪いもの
魚類が糖尿病のリスクを抑制することは明らかですが、より効果が期待できるのはどんな魚なのでしょうか。おすすめの魚を知り、日頃の食生活にうまく摂り入れていきましょう。
食べて
いいもの-
- ・アジ・イワシ・サンマなどの青魚
推奨されて
いないもの-
- ・カツオ、マグロ、タラ、カレイなど脂の少ない魚
なぜ食べていいのか?
アジ・イワシ・サンマなどの青魚
糖を分解する働きを持つインスリンの働きは、n-3系脂肪酸を摂ると改善するという報告があります。青魚にはn-3系多価不飽和脂肪酸であるEPAやDHAが多く含まれているため、糖代謝が改善され、糖尿病の発症や体重増加のリスクの低下が期待できます。
なかでも脂の多いアジやイワシ、サンマ、サバなどはn-3系多価不飽和脂肪酸やビタミンDを多く含み、インスリンの働きを高める助けになるため、積極的に摂りたい食材です。
世界中の研究者らの間でも「「魚の脂を摂ることで2型糖尿病の発症を低下できる」「魚食を推奨すべきだ」と提唱されています。
なぜ推奨されていないのか?
カツオ、マグロ、タラ、カレイなど脂の少ない魚
脂の少ない魚に関しては糖尿病のリスク低下との関連は見られなかったという報告があります。糖尿病の予防や対策目的で摂取するのであれば、脂の多い魚を摂るのが適していると言えるでしょう。
糖尿病患者・糖尿病予備軍向け
レシピ集【魚介類編】
サバの味噌煮
レシピの紹介
近年ダイエット食品としても広く知られているサバには、中性脂肪を低下させるDHAや血栓を予防するEPAという成分が含まれており、糖尿病の人はもちろん、予備軍の人にとっても心強い存在です。じっくり味噌と煮汁で煮込んでいるので、しっかり味が染み込んだサバは、サバ独特のにおいや風味を感じずに美味しく食べることができます。また、皮ごと入れたしょうががアクセントとなり、サバや味噌の味を引き締めています。
材料と分量
- ・サバ 160g
- ・しょうが 8g
- ・みそ 大さじ2/3
<煮汁>
- ・酒 大さじ2/3
- ・砂糖 大さじ2/3
- ・しょうゆ 小さじ2/3
- ・水 80ml
つくり方
- サバの身は、2~4つになるようにカットしておきます。
- しょうがは綺麗であれば皮をむかずに、そのまま輪切りにします。
- 鍋に煮汁の材料を合わせて入れ強火で煮立てた後、サバを1切れずつ皮面を上にして入れしょうがを散らします。
- 皮面に煮汁を掛けサバの表面に火が通ったら、落し蓋をして10分中火で煮込みます。
- その後味噌を煮汁に溶かしながら入れ、サバに煮汁を掛けながら2~3分煮たら完成です。
サンマのホイル焼き
レシピの紹介
オーブントースターで完結できるため、もう1品作りたい時に、準備をしてオーブントースターに入れておくと使い勝手が良いメニューです。サンマにも中性脂肪を低下させるDHAや血栓を予防するEPAが多く含まれているほか、ビタミンAやカルシウム、鉄分などが豊富に含まれています。シーズンがある魚のためなかなか手に入れにくいですが、新鮮なサンマは内臓まで食べることができるため、さらに栄養を確保しやすい食材です。
材料と分量
- ・サンマ 1尾
- ・パプリカ 1/4個
- ・えのき 20g
<調味料>
- ・パセリみじん切り 大さじ1
- ・にんにくみじん切り 小さじ1/2
- ・オリーブ油 小さじ1/2
- ・塩 少々
つくり方
- サンマは頭と内臓を取って洗い、キッチンペーパーで水気をよく切っておきます。
- パプリカは食べやすい太さの千切りにカットし、えのきは石付きを取ってほぐしておきます。
- アルミホイルにパプリカとえのきを敷き詰め、その上にサンマを載せます。
- あらかじめ合わせておいた調味料をサンマの上からまんべんなくかけ、アルミホイルで包み込みます。
- オーブントースターで約15分焼き、サンマに火が通れば完成です。
サバのグリル焼き
レシピの紹介
サバには中性脂肪を低下させるDHAや血栓を予防するEPAという成分が含まれており、糖尿病に対するレシピには引っ張りだこの食材です。オーブントースターを使用し加熱することで、油を適切な量だけ摂取することが可能です。油の摂取を過度に嫌がる人がいますが、脂質性栄養素の吸収を高めるために非常に重要な役割を果たします。耐熱容器を使用する料理は、炒め物よりも油の量を可視化できるため、安心して食べることができます。
材料と分量
- ・サバ 80g
- ・長ネギ 15g(10cm)
- ・いんげん 2本
- ・ミニトマト 3個
- ・粗びき黒こしょう 少々
<調味料>
- ・にんにくみじん切り 小さじ1/4
- ・白ワイン 小さじ2
- ・バルサミコ酢 小さじ2
- ・塩 少々
- ・オリーブオイル 小さじ1
つくり方
- サバは3等分の削ぎ切りにします。
- 長ネギといんげんは斜めにカットし、ミニトマトは半分にカットしておきます。
- ボウルに調味料を全て合わせ、長ネギ、いんげん、ミニトマトを良く絡めます。
- 耐熱容器にサバを並べた上に、調味料と合わせた野菜を入れ、温めたトースターで20分前後焼き、サバに焼き色を付けます。
- 仕上げに粗びきこしょうを振りかけて完成です。
糖尿病と魚介類の関連を示すエビデンス紹介
魚は糖尿病発症リスクに貢献する
魚は、糖尿病の発症リスクに貢献するという結果が出ています。魚にはエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸と言った成分が含まれており、これらの成分が糖の代謝に作用するインスリン分泌の改善に役立つという結果が出ているのです。
しかし、近年魚を取り巻く環境は自然汚染によって変化しており、これらが糖代謝に影響を与えているという可能性も示唆されています。
男性に直接的な関連がみられる
これらの調査結果は女性には関連性が見られず、男性にのみ関連性が見られます。
糖尿病を発症していない男性を5年間調査したところ、肉中心の食生活をしている人と比較し、魚中心の食生活を行っている人の人が、糖尿病の発症リスクが約3割減少するという調査結果が出ています。
魚なら何でもOK、というわけではない
同じ魚であっても、サケやマスのような大型魚の摂取は糖尿病の発症と関連性が見られず、アジやイワシのような小型魚の摂取量に関連が見られることが分かりました。また、サンマやサバのような脂質が多い魚を摂取することで、糖尿病の発生リスクが低下するとされています。
日本人だからこその結果?
これらの調査は日本人を対象に実施されており、これまで欧米諸国での研究結果では魚の摂取量と糖尿病に対して、一致した見解は見られません。
日本人は刺身や寿司など、欧米人と比較して魚の摂取量が多いことが理由として挙げられていますが、更なる研究が必要だと言われています。
糖尿病網膜症の発症リスク低下に関する研究結果
糖尿病患者の中でも差が生まれる
週に2回ほど魚を食べている糖尿病患者は、魚を食べない糖尿病患者と比較して、糖尿病網膜症を発症する可能性が48%も低下することが分かりました。
糖尿病の発症だけではなく、糖尿病網膜症の発症にも魚が関連しているというデータは、糖尿病網膜症を予防する効果的な施策として注目を集めています。
多価不飽和脂肪酸がポイント
魚には、中性脂肪を低下させるDHAや血栓を予防するEPAと言った、多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。これらを1日あたりに換算すると、500ml程度摂取している人の糖尿病網膜症発症の可能性が低いということが分かりました。
そもそもこれらの成分は、心筋梗塞などを予防するためにも効果的だとされてきたものの、糖尿病との関連性はこれまで見えていませんでした。注目すべきは毎日ではなく週2日を目安にするだけで、効果を見込めるという点です。
現時点で効果があるのは食事のみ
尿病網膜症予防のために必要な成分が分かったなら、同様の成分をサプリメントで摂取したらどうか?と考える人がいるかもしれません。
しかし現時点での研究結果では、あくまでも魚から直接成分を摂取した結果に留まっており、サプリメントでも同様の効果を得ることができるかは、まだ分かっていないと言えるでしょう。そのため、摂取の際は注意が必要です。
不安症状との関連性
不安症状は死のリスクにも繋がる
不安症状という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
生涯において何らかの不安障害を抱く人は全体の約1/3にも上り、糖尿病患者もその例外ではないと言えます。約7割の人が「糖尿病との合併症」に対して不安を感じているほか、約5割の人が、いつ起こるか分からない低血糖の症状に不安を抱いています。
これらの不安症状が悪化すると、生活や会話の質を悪化させ、最悪の場合死のリスクに繋がることもあります。
青魚は不安症状の軽減に効果的
糖尿病患者にとって避けて通れない不安障害は、これまで明確な解決策がないとされてきました。しかしアジやサンマ、サバと言った青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸が、不安症状を軽減するために効果的だと言うことが分かったのです。
オメガ3系脂肪酸には、植物由来の成分と海洋由来の成分が入っており、これらの要素に抗不安効果があるのではないかという研究結果が出ています。
目安は1日に2,000mg以上の摂取
現在の研究結果では、1日に2,000mg以上のオメガ3系脂肪酸を摂取すると効果的とされているものの、これらの研究結果は発展途上にあります。マウスでの実験や、人体での実験でも結果は既に出ているものの、適切な摂取量については、今後注視しておくと良いでしょう。