カロリー計算をしてみよう

糖尿病にカロリー計算は必須?

糖尿病治療で基本となるのは、食事療法です。毎日の食習慣を改め、血糖値を良好な状態にコントロールしていきます。まずは、カロリーを抑えることが最優先されます。カロリーを摂り過ぎると、すい臓に負担がかかり、血糖値を下げるインスリンがうまく分泌されなくなってしまうからです。

逆に、栄養バランスの良い食事を適正なカロリーで摂れば、すい臓の負担が軽くなり、インスリンを分泌する能力が回復します。そのため、カロリーを抑える食事療法はとても効果的だと考えられています。

カロリー摂取の目安は?。

一般的に、健康な人のカロリー摂取量は、男性で1,600~2,000kcal、女性では1,400~1,800kcalが目安とされています。まずは、カロリー摂取量をこの範囲内におさめるように心がける意識が大切です。

さらに、自分に適したカロリー摂取量を計算するには、以下のような計算式を用います。

エネルギー摂取の計算方法

エネルギー摂取量 = (1)標準体重(kg) × (2)身体活動量

(1)標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

(2)標準体重1kgあたりの身体活動量の目安・軽労作(デスクワークが多い職業など)…20~25kcal・普通の労作(立ち仕事が多い職業など)…30~35kcal・重い労作(力仕事が多い職業など)…35~ kcal

※ただし肥満者の場合には、20~25kcalとして、まず5%の体重減少を目指す。

スーパー勤務の男性、175cm、85kg


標準体重…1.75(m)×1.75(m)×22=67.3(kg)

エネルギー摂取量…67.3(kg)×30(~35)=2019~2355(kcal)

カロリー計算法の各数字を
詳しく紹介

上記の計算式に出てくる「標準体重」や「身体活動量」などの用語は聞いたことがあっても、定義まで正しく理解できる方は意外と少ないようです。これらの用語は、糖尿病だけでなく、そのほかの生活習慣病の予防や改善にも関わってくる為、知識として覚えておきましょう。

標準体重

肥満でも痩せすぎでもなく、最も理想的とされる体重です。標準体重は、病気にかかる確率や死亡率が低いなど、最も健康に生活できることが統計的に明らかになっている体重として定義されています。

BMIとは

肥満度を表す体格指数です。肥満は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、痩せは栄養不良や慢性進行疾患などのリスクがあり、これらの病気の予防や治療にBMI指数を用います。

日本では、BMIの標準値を22としており、BMIが18.5未満であれば痩せ型、18.5~25未満であれば標準、25以上は肥満気味と定義しています。

ただし、BMIは体脂肪率が考慮されていないので、BMIが標準であっても脂肪が多い人は隠れ肥満の可能性もあります。

身体活動量

安静にしているとき以外のすべての活動をさします。運動だけでなく、日常生活の活動も含まれていて、「身体活動=運動+生活活動」になります。エネルギーの消費量が多いか少ないかは、身体活動量の多さで決まります。

ただ、運動の習慣がない人であっても、肉体労働や家事を多くこなしていれば身体活動が多いと言えるので、運動の習慣があるからと言って身体活動量が多いとは言えません。

注意すべきは“間食”

糖尿病の人が適正なカロリー摂取量を守り、栄養バランスが良い食事を摂るためには、間食がとても重要なポイントになります。糖尿病の人は血糖値が上がりやすく、下がりにくい傾向にあります。そのため、間食を摂取する時間や量に注意しないと、高血糖が慢性化し、肥満や脂質異常、高血圧などが進行する恐れがあるのです。

例えば、3食規則正しく食事を摂った場合は、血糖値が上昇してもすぐに元の状態に戻りますが、間食を摂ると血糖値が上昇し、下がりきらないまま次の食事を摂ることになり、高血糖状態が続いてしまうのです。

最も危険なのは夕食前のおやつです。この時間に間食を摂ると血糖値が下がりきらないまま夕食を摂り、血糖値が上がり続けたまま睡眠をとることになり、高血糖状態が続いたまま朝を迎えることになってしまいます。

タイミングに注意

間食を完全にやめるのは難しいという人は、食べる時間に注意してください。食事の後に上がった血糖値が下がるときに間食をとると、再び高血糖状態になります。間食を摂るなら、食事の一部として食べるか、運動前に食べるのがおすすめです。食事の一部として摂れば血糖値の上昇を一度にできる上にカロリーの把握がしやすく、運動前に摂れば摂取カロリーを消費できます。

食べるものに注意

間食を摂る際には、何を食べるかも重要です。推奨されているのは、タンパク質やカルシウムを豊富に含む乳製品や、食物繊維を豊富に含み血糖値の上昇を緩やかにしてくれる果物です。市販のお菓子も食べて良いですが、できるだけ小分けになっているものや、カロリー・脂質・塩分量などの栄養表示のある物を見てから購入するようにしましょう。

注意する食品・飲料

  • 洋菓子
  • スナック菓子
  • 徳用パックなどの大袋菓子
  • 清涼飲料水

糖尿病患者は
飲み物にも注意!

のどが渇いたときには水やお茶を飲むのがおすすめです。つい、砂糖の入ったコーヒーや清涼飲料水に手が伸びてしまう方もいると思いますが、市販の飲料水は大量の砂糖が入っています。血糖値が上昇する大きな原因になるため、可能な限り控えましょう。

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