緑茶

緑茶と糖尿病の関係

近年、国内外で行われている研究を通じ、緑茶にはガンの抑制や美肌効果など、さまざまな作用・効果が期待できることが分かっています。それら期待されている作用・効果の一つが、糖尿病を抑える働き。
ペンシルヴァニア州立大学の研究チームは、緑茶に含まれる成分と糖尿病予防作用との関係について、マウスを使った詳細な実験を行っています。

緑茶に含まれるEGCGで食後高血糖の抑制が期待できる

ペンシルヴァニア州立大学の研究チームが注目した成分は、緑茶に含まれる成分のEGCG。研究チームは、デンプン質と並行してEGCGを摂取することにより、食後高血糖が抑制される可能性があることを発表しました。

  • 実験の内容
    マウスを対象に、デンプン質(ご飯やパンなど)の摂取と並行し、緑茶に含まれるEGCGを投与。その後、マウスの食後血糖値を測定しました。投与したEGCGの量は、人が飲む量に換算して1杯半程度でした。
  • 実験の結果
    EGCGを摂取していないマウスに比べ、EGCGを摂取したマウスの食後血糖値が有意に抑制されていることを確認しました。この変化の根拠について研究チームは、EGCGが持つα-アミラーゼの活性抑制作用が食後血糖値の低下をもたらしている、と推測しています。
    α-アミラーゼとは、唾液などに含まれる酵素。デンプン質を麦芽糖とブドウ糖に分解する働きのある酵素のため、α-アミラーゼの活性が抑制されれば、必然的にブドウ糖の絶対量も減少。測定によると、EGCGにはα-アミラーゼの活性を約34%低下させることが確認されました。

緑茶に含まれるポリフェノール等で血糖値低下が期待できる

ペンシルヴァニア州立大学の研究チームは、マウスを使用した実験により、緑茶が糖尿病に関連する各種の数値を改善させることを報告しました。

  • 実験の内容
    緑茶を摂取したのちに運動する実験群や、緑茶を摂取しない実験群、緑茶を摂取しても運動をしない実験群などにマウスを分け、それぞれ16週間後の各種数値を比較しました。
  • 実験の結果
    実験の結果、緑茶を摂取したのちに運動をした実験群において、体重は平均27.1%減少。また、腹部の脂肪は33.6%減少、空腹時血糖値は17%低下、インスリン値は65%低下、インスリン抵抗性は65%減少を示しました。
    一方で、緑茶成分を摂取しなかった実験群や、運動をしなかった実験群においては、体重を始め、これら糖尿病に関連する数値に有意な変化は見られていません。実験を通じ、「緑茶の摂取+運動」という組み合わせが糖尿病リスクを低下させることが示唆されました。
    もとより、この研究以前から、すでに緑茶に含まれているカテキン等のポリフェノールには肥満を予防する作用があることが知られていました。今回の実験は、改めて緑茶が持つ肥満予防効果を裏付けるものとなりました。

【コラム】生活習慣のリスク要因を排除しつつ緑茶を飲むことが大事

以上、ペンシルヴァニア州立大学の研究を基に、緑茶と糖尿病予防との関係についてご紹介しました。 緑茶による糖尿病への作用については、国内でも、富山薬科大学を始め多くの研究機関が実験に取り組んでいるところです。その過程で、糖尿病予防の作用ほほかにも、ガン抑制作用や美容効果、ダイエット効果、抗アレルギー効果など、実にさまざまな効果の存在が示唆されています。
緑茶の名産地として知られる静岡県や埼玉県狭山市の方々は、他の地域の方々に比べて健康寿命が長いことが分かっています。日常的な緑茶の摂取が、地域の健康に貢献しているのかも知れません。

ただし注意していただきたい点は、「緑茶を飲んでいるだけで糖尿病が予防できる」というわけではないこと。確かに、緑茶を飲まない人に比べれば、日ごろから緑茶を飲んでいる人のほうが、血糖値は抑制される傾向があるでしょう。しかし、そうとは言え、暴飲暴食や運動不足、糖質の高い食事など、糖尿病の根本的な原因となる要素を日常から排除しない限り、いかに緑茶とは言え力は及びません。

食生活を中心に日常を見直しつつ、プラスアルファの要素として緑茶を飲む、という姿勢が望まれます。

エビデンスの参照先・ペンシルヴァニア州立大学「Drinking green tea with starchy food may help lower blood sugar spikes」2012.11.12
・ペンシルヴァニア州立大学「Research suggests that green tea, exercise boost weight loss, health」2014.4.2
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